小児科医 眞々田容子医師にきく

小児科医
眞々田容子 医師にきく

健康は目的ではなく、 その先の「生きたい人生」のための手段

西洋医学から統合医療へ。
食・心・生活環境、そして子どもたちの未来を見つめて

片平:眞々田先生は、通常の小児科診療を行いながら、自然療法も取り入れた統合医療も続けていらっしゃいますが、クリニックを設立したのは、いつでしたか?

眞々田:2015年に開院して、ちょうど10年ほどになります。当時、統合医療を求めて来られる患者さんは月に数人くらいでした。それが今では、診療の中で2~3割くらいの方が希望して受診されます。できるだけ薬を使いたくないという方も多く、オンラインで食事や生活について相談される方もいますし、全国から受診される方や、帰省・旅行と合わせて定期的に来られる方もいます。11年近くかけて、ようやく根づいてきたように思います。

片平:開設したきっかけは?

眞々田:信州大学の医学部では西洋医学を中心に学んできましたが、もともと自然療法や昔ながらの手当のようなものが好きで、大学時代から自分なりに学び続けていました。今振り返ると、それが現在の診療につながっているのだと思います。

「早くお医者さんになって、私を助けて」
―白血病の友人との約束

片平:医師を目指したきっかけは?

眞々田:原点には、白血病になった友人との約束があります。私は医療者がいる家庭で育ったわけではないのですが、高校時代、仲の良かった友人が白血病になりました。そして「早くお医者さんになって、私を助けて。私だけじゃなく、病気の人みんな治してあげて」という言葉を残して亡くなったのです。その言葉はずっと私の心に残り、医師として歩む大きな原動力になりました。そこで血液疾患、とくに小児の血液疾患をしっかり学びたいと思いました。

片平:大学病院では白血病をはじめ、重い病気の子どもさんたちの治療にも携わってきたのですね?

眞々田:当時、受け持った白血病の患者さんの多くの方が亡くなりました。その一年間で、私自身の精神もかなり消耗しました。白血病では血小板が減り、出血しやすくなることがあります。最期の場面で、蘇生処置をしても出血が止まらないような壮絶な状況も経験しました。それでも心臓マッサージを続け、何とか命をつなごうとする。救命医療として必要なことだと理解しながらも、私はそこで強い違和感を覚えました。「ここまで来る前に、もっとできることがあるのではないか」と。
その後も一般病院で小児科、アレルギー領域、新生児医療などに携わりました。染色体異常のある赤ちゃんや、非常に小さく生まれた赤ちゃんの治療も経験しました。

子どもたちの食生活を見て、薬を出すだけの医療には戻れなくなった

片平:ご自身の体験から食に対する意識が高まり啓蒙もされていらっしゃいますね。

眞々田:医学部時代、実家を離れて一人暮らしを始めると、コンビニ食やファミレス食中心になっていきました。医学部では試験が次々にあり、勉強のストレスも大きく、大学3年生の頃にアトピー性皮膚炎を発症したのです。
大学病院を受診するとステロイド剤が処方されます。塗ればその時はきれいになりますが、やめるとまた悪くなる。それを繰り返しました。どんどん見た目が変わっていくことで自己肯定感も下がっていった時、仲間から言われた一言が、医者としての人生を変えました。「身体は食べたものでできている」と。
そこから食生活を見直しました。すると、みるみるうちに肌の状態が変わっていきました。病気を治すことは、薬だけではなく生活習慣そのものを整えることだと理解しました。現在の私の医療の原点は、ここにあります。

白血病の医療現場で感じた「もっとできることがあるのではないか」

眞々田:忘れられないエピソードがあります。白血病の治療を受けていた3歳ほどの子がマクドナルドのポテトを食べたいと言っていたこと。小学校6年生くらいの野球少年も「少年野球が終わると、みんなでマックに行って食べる」と話していたこと。
もちろん特定の食べ物が白血病の原因だったと単純に結びつけることはできません。でも医療現場で子どもたちの生活背景を見続ける中で、「もし日常の食生活や生活習慣が違っていたら、何か違う可能性はなかっただろうか」と考えるようになりました。食事や生活習慣で自分の身体が変わることを経験していたので、ただ薬を出すだけという診療には戻れなくなりました。
西洋医学には、救急医療や重い感染症など、命を救う非常に大きな力があります。抗菌薬をはじめ、急激な症状を抑える治療が必要な場面は確実にあります。一方で、どんな治療をしても繰り返す風邪や、治りきらない湿疹など、薬だけでは解決しない患者さんがいることも事実でした。それが2015年の開院につながったのです。

身体だけを診ない。
心・生活環境まで含めた「その人全体」を診る

片平:現在の治療方針を教えてください。

眞々田:身体と心、取り巻く生活環境なども含め、その人全体を見ていくことを大切にしています。クリニックには同じ思いを持ったスタッフが集まり、それぞれが専門性を持っています。
子どもの成長についても症状だけでなく、赤ちゃんの時の抱っこの仕方や生まれてから身についた習慣など、より早い段階から関わることが重要だと考えています。
ただし通常のクリニック診療だけではできることに限界がありますので、別のスペースにサロンを設け、多角的に状態を把握するための機器や、身体を整えるためのさまざまな方法を取り入れています。

片平:例えばどのような方法ですか?

眞々田:メタトロンのように身体の状態を周波数という観点から見ていく機器の活用です。医療機器ではないので「診断」という言葉は使いませんが、現在の状態を知る一つの参考情報として利用しています。
バイオレゾナンス系の機器なども、乱れていると考えられる周波数を整えるという考え方で活用しています。血液検査など通常の医学的検査と照らし合わせながら、「今の生活習慣を続けていくと、この方向に傾く可能性があるかもしれない」という気づきの材料として扱っています。

医師は「治す人」ではなく、その人が変わるためのサポート役

片平:統合医療を続けてきた先生だからこそ、お伝えしたいことはありますか?

眞々田:病気や不調は、自分の身体から届いている一つのメッセージでもあると考えるようになりました。それをどう受け止め、生活や考え方をどう変えていくか。
患者さん自身が自ら気づいていくことがとても大切です。医師は「何でも治してあげる人」というより、その気づきを支えるサポート役なのだと思っています。
西洋医学の薬が必要な時には使う。でもそれだけで終わらず、食、睡眠、生活習慣、心、家族関係、その人が何を大切にして生きているのかまで見ていく。私が目指しているのは、そういう医療です。

健康になることが最終目標ではない

眞々田:私は患者さんに、健康になること自体を最終目的にしてほしくないのです。

片平:それはどういうことでしょうか?

眞々田:健康は「手段」です。その先に、自分が本当に生きたい「人生」があります。健康になったら何をしたいのか。誰と会いたいのか。どこへ行きたいのか。何を成し遂げたいのか。そこが見えてくると、人は変わり始めるのではないでしょうか。
だから私が一番伝えたいのは、「あなたはどうしたいですか?」という問いです。病気だけを見ていると、その人の人生そのものが見えなくなります。私は生きる目的を持つことが「最強の免疫力」の一つだと考えます。さまざまな経験を重ねた今、私が目指しているのは、病気だけを治す医療ではありません。その人が自分の身体と心の声に気づき、家族とともに、その人らしい人生へ戻っていくための医療なのです。

診察室の外へ。
子ども食堂、ママフェス、教育活動、大使館へ

片平:今後の活動のビジョンは?

眞々田:今、クリニックの診療だけでは届かない部分にも活動を広げています。子ども食堂の活動をしたり、医師や専門家が家庭を支援する「ママフェス」のようなイベントを企画したりしています。
統合医療に取り組む小児科医の仲間ともつながり、同じ方向を向いている人たちと一緒に広げていきたいと考えています。
また、子どもの教育にも関わっていきたい。学校では扱いにくいテーマも含め、命について学ぶ授業、日本文化や言霊に触れる授業、神社仏閣での体験などを企画しています。さらに子どもたちを大使館へ連れて行き、その国の文化を知ってもらう活動も行っています。世界の多様性を受け入れながら、異なる文化の人たちとどうすれば幸せに生きていけるのか。それを子どものうちから知り、考えてほしいですね。

片平:本日は素晴らしいお話をありがとうございました。今後のご活躍を楽しみにしています。

 眞々田容子 ままだ・ようこ

医師。信州大学医学部卒業後、信州大学医学部附属病院小児科研修、市立甲府病院小児科、帝京大学医学部附属溝口病院小児科助手、賛育会病院小児科・新生児科医長などを経て、蔵前に「クローバーこどもクリニック」を開院。小児科・アレルギー診療を基盤としながら、食事・生活習慣、心身の状態まで含めて一人の人間全体を見る統合医療に取り組んでいる。開院から約10年。

ママフェスPRO

日時 2026年10月17日(土) 10:00~16:30
会場 ヒューリック浅草橋
参加費 入場無料
講師 吉野 敏明 先生
クローバーこどもクリニック院長 眞々田 容子 先生